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自営業を始めるには、資金を準備しなければいけません。どれくらい必要かは業種によって異なりますが、余裕があると心強いでしょう。逆に資金が足りなかったら、どうやって用意すればいいのでしょうか。
自営業でかかるお金を考えてみよう
まずは自営業を始める上で必要になるお金の確認です。
法人でなければ特別な費用はかからない
法人として会社を立ち上げるのであれば、定款を作成して認証しなければいけないので、そのための費用として92,000円かかります。さらに法務局で法人登記する際に15万円(または資本金の0.7%)が必要です。一方、自営業者が事業を始めるための手続きは、税務署に開業届を提出するだけであり、そのための費用はかかりません。
店舗など仕事場所の確保
自宅以外を仕事場所にする場合、専用の店舗やオフィスを構えるなら、敷金や礼金、仲介手数料、前家賃が発生し、初期費用だけでもかなりの高額です。
最近では1部屋単位で専用のスペースを借りられる「レンタルオフィス」や、その時々で空いているスペースを利用できる「シェアオフィス」が増えています。これらは入会金や保証金だけで利用可能で、既に机や椅子、複合機などが備わっており、初期費用を抑えられるのが魅力です。
仕事で使う器具・備品の用意
士業やコンサルタントをはじめ、プログラマーやデザイナー、ライターなどは、パソコンとその周辺機器、ソフトウェアがあれば、十分に業務をこなせます。あとはインターネット回線を用意し、必要に応じて資料を揃えるくらいです。
これに対して飲食業は厨房機器や調理機器、食器が必要ですし、テーブルや椅子などのインテリアにもお金がかかります。製造業は商品を作るための機器が欠かせません。これらを一度に揃えるとなると多額の資金を用意しなければいけないでしょう。
運転資金の用意
事業が軌道に乗るには時間がかかり、それまでは収入よりも支出のほうが多くなります。資金が底をついてしまうと、事業を続けられません。また開業当初は信用力に乏しいため、「掛け」ではなく現金払いを求められます。現金が無いと取引のチャンスを逃がしてしまうでしょう。
そうならないように運転資金は多めに用意しておきたいものです。最初から順調に収入が見込めるのであれば経費の3ヶ月くらいで十分ですが、ゼロから事業を始めるなら1年分以上あったほうが安心です。
低資金でもはじめられる自営業は?
飲食業のように初期費用が高額だと、数百万円から数千万円の資金を用意しなければいけないですし、それを回収するための時間もかかります。それでいて家賃や光熱費、食材、人件費など毎月の経費が大きいため、よほどの売上が無いと利益を出せません。会社を定年退職した人が新たに始めるのはリスキーです。
一方で数万円から数十万円程度の低資金で始められる業種もあります。
コンサルタントやアドバイザーとして独立
これらは相談に乗って悩みを解決するのが主な業務で、接客するスペースと作業するスペースがあれば仕事ができます。必要な設備も書類を作成するパソコン、プリンター、机、椅子、テーブル、ソファくらいです。自宅を仕事場所にしている人もいます。
さらに弁護士や税理士などの専門資格があると、顧客を集めやすいでしょう。ただし、それらを取得するための教材や登録料、更新料などは意外と高額です。
個人塾などの教育分野
塾を開業する上で必要な資格はなく、誰でもオーナーや講師になれます。自宅を教室にすれば、初期費用はホワイトボードや生徒用の机、椅子を用意するくらいです。教材も自分で作れます。
生徒を集めるには、ある程度の経験や実績があるほうが望ましいでしょう。例えば子どもに勉強を教えるなら教師や講師の経験、楽器なら人前で演奏した実績、ヨガなら有名な協会が認定したインストラクターの資格などです。
ネットショップで開業
ネットショップがあれば、実店舗が無くても商品を販売できます。仕入代はかかりますが、家賃や光熱費は不要です。接客のわずらわしさもありません。楽天市場など大手ショッピングサイトが提供する出店システムを利用すると、簡単にネットショップを作れます。利用料の目安は月10~20万円くらいです。
ライターやデザイナーなどで独立
ライターやWebデザイナー、プログラマーはパソコンとインターネット環境があれば、オフィスを構えなくても仕事できるのが強みです。クラウドソーシングのサービスを利用すると、手数料はかかりますがクライアントにアプローチしやすくなります。
そのほか低資金でできる仕事
同じ飲食業や販売業、サービス業でも「フランチャイズ制度」を利用すれば、少ない初期費用で事業を始められます。企業がサポートしてくれますから、未経験でも運営しやすいのがメリットです。その代わり自由度が低く、売上がいくらでも一定のロイヤリティを支払う必要があります。
自営業者が資金を作るには?
本来であれば、事業を始めるには自ら資金を用意するのが望ましいですが、それ以外の方法で資金調達することもできます。
日本政策金融公庫を利用する
日本政策金融公庫は経済発展のために設立されており、自営業者の融資にも積極的です。一般的な融資に比べると無担保でありながら金利が低く、返済期間が長めに設定されています。例えば新規開業資金の融資なら、金利は最大でも2.85%です(2018年8月10日現在)。融資されると他の金融機関からの信用も高まるため、申請する価値はあるでしょう。
制度融資(信用保証協会)を利用する
制度融資とは、自治体が信用保証協会や金融機関と提携して融資するシステムです。信用保証協会が保証人になることで、金融機関へ直接申し込むよりも融資されやすくなるでしょう。自治体は金利や保証料の一部を負担してくれます。ただし事業を行う自治体でしか利用できず、自治体によって制度の内容がまちまちな点は要注意です。
信用金庫や信用組合を利用する
信用金庫も信用組合も、地域の発展を理念としています。そのため、銀行よりも融資を受けやすく金利が低いのがメリットです。初めて融資を受けるときの審査は厳しいですが、信頼関係を構築できれば手厚い支援を受けられるようになります。
リースバックを考える
持ち家があるなら「リースバック」で現金化し、事業の資金にすることができます。売却してから現金化されるまで早く、リース契約で住み続けられるのが魅力です。融資されているわけではないので、返済義務も利息もありません。
まとめ
自営業を始めるために必要な資金は業種によって異なり、数万円から数十万円程度で済むものもあります。できれば自分で用意するのが望ましいですが、融資してくれる金融機関や制度も豊富です。リースバックで持ち家を現金化するのも資金調達に役立つでしょう。
ハウスドゥでも「ハウス・リースバック」を提供しております。全国の戸建やマンション、事務所などが対象で、最短5日、平均40日で現金化できるのが強みです。ぜひともご検討ください(※物件により買取できないケースもございます)。