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定年を迎えて年金だけで生活してみたものの、支出が多くて退職金を取り崩すペースが速いと不安になるものです。けれども、すでに退職した後だと年金以外の収入がありません。
どのように老後資金を貯めればいいのでしょうか。
60代からでも老後資金は貯められる?
まずは老後に支出が多くなる原因を知り、老後資金の貯め方を考えてみましょう。
60代を過ぎると支出は増えていく
定年になると会社へ出勤しなくなるので、交通費や被服費といった支出が減ります。
子供が独立していれば教育費もかからないでしょう。
一方で、これまで難しかった遠方への旅行や趣味にかける時間、親族や友人に会う機会が増えるので、交際費は現役の頃と変わらないか多くなりがちです。
また、体調を崩して病院へかかる回数も多くなりますから、医療費もかさみます。しかも、70歳になるまでは引き続き3割負担です。その結果、現役の頃と同じか、それ以上の支出になるかもしれません。
令和6年4月分から受給される年金は、国民年金(老齢基礎年金)が6万8000円、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金は約23万円です。ほとんどの高齢者は現役の頃よりも明らかに収入が減っているでしょう。
(日本年金機構ホームページより)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2024/202404/0401.html
これでは、たとえ退職金で不足分を埋められたとしても、瞬く間に使い果たしてしまいます。
60代からでも老後資金を増やすことは可能
老後資金が底をつかないように、できるだけ年金の範囲で生活するよう心がけ、退職金は緊急の出費に充てるなど、なるべく手をつけないようにしましょう。
その分を資産運用に回せば、少しずつでも増やすことは可能です。
また、体力があるなら再就職やパート・アルバイトをすると給料をもらえます。その分、ゆとりある暮らしを送りやすくなりますし、余った年金や退職金を貯蓄に回せます。
ただし、60歳以上で働く場合、受給されている老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額に応じて年金額が支給停止となる場合があります。
なお、平成19年4月以降に70歳に達した方が、70歳以降も厚生年金適用事業所に勤務されている場合は、厚生年金保険の被保険者ではありませんが、在職による支給停止が行われます。
※65歳未満の方の令和4年3月以前の年金については、支給停止の計算方法が異なります。
1年間で停止される額は、
「{(毎月の賃金+賞与を12で割った額)-50万円}×1/2×12」
で計算できます。
出典:日本年金機構ホームページ
老後資金を貯めるにあたってチェックすること
老後資金を貯めるなら、目標額を設定したいところです。
そうしないと必要以上に節約して我慢する破目になったり、逆にいざというとき足りなくなったりします。どのように設定すればいいのでしょうか。
これから予想される出費を確認しよう
まずは老後に予想される出費を確認しましょう。食費や日用品費、光熱費、住居費、被服費、交通・通信費は老後になっても、引き続きかかるものです。持ち家があるなら固定資産税もかかります。
一方で医療費や冠婚葬祭費、家財道具の買い替え、自宅の修繕費など突発的に発生する費用もあるはずです。さらに旅費や交際費など趣味やレジャーにかかる費用もあります。
これらを一覧にして見える形にすれば、どのタイミングでどれくらいの出費が発生するか一目瞭然です。
ここに年金などの収入を書き足して、収支を計算します。できれば老後に長生きする年数分を作ると良いでしょう。
これによって老後資金の不足額が明確になり、その分だけ貯めれば良いということになります。
もし年金と退職金で充分に間に合うなら我慢して無理に貯める必要はないですし、働いて補ってもいいわけです。
収入と支出を見直そう
単に収入を増やすだけでなく、支出を見直せば少ない老後資金でも暮らしやすくなります。
先ほど書き出した支出の中から、不要と思われるものを減らしてみましょう。
このとき、趣味やレジャーなど老後の楽しみに使う支出から減らすのはおすすめしません。それでは味気ない老後になってしまいます。優先的に減らしたいのは毎月の支出です。
毎月の支出の中でも、固定費は一度削減すると効果が長持ちします。例えば携帯電話の料金です。
契約プランを見直したり、料金が安い格安スマホに乗り換えたりすれば、大幅に節約できる可能性があります。
保険料も老後は大きな負担になるものです。死亡保険のように、子供が独立すると減らしてもいい保障もあります。本当に必要な保障だけに絞って残りを解約すると、保険料を節約できますし、解約返戻金があれば老後資金の足しになるでしょう。
本来は定年前に完済するのが望ましいですが、住宅ローンが残っているなら、借り換えや繰り上げ返済をすると以降の利息を減らせます。ただし、どちらも手数料が発生する点は要注意です。
60代から老後資金を増やすには?
最後に60代から老後資金を増やす方法を紹介します。
働き続ける
先述のとおり、定年後も別の会社に再就職したり、パートやアルバイトで働いたりすれば、定期的に給料をもらえます。
単に老後資金を増やせるだけでなく、社会とのつながりを持てるようになり、孤立を防いだり、いきいきと老後を過ごせたりするでしょう。
働き続けるためには、健康でなければいけません。
普段から健康に気を遣った生活を送り、定期的に健康診断を受けて、病気を早期のうちに発見できるよう努めましょう。
資産運用にとりかかる
退職金や貯蓄があるならば、5年以上使う予定がない分で資産運用しましょう。
資産運用では貯金よりも高い利回りが期待できますが、元本は保証されていません。
大きく増やせるからといって、株やFX、仮想通貨といった値動きの激しい金融商品はNGです。万が一大損をすると、取り返しがつかなくなります。
投資信託であれば、元本は保証されていないものの、比較的値動きがゆるやかです。投資の専門家が複数の金融商品で分散投資してくれるので、1つの金融商品で運用するよりも大きく減らすリスクを軽減できます。
また、2024年に、NISAの抜本的拡充・恒久化が図られ、新しいNISAが施行されました。
ポイントは以下の通りです。
- 非課税保有期間の無期限化
- 口座開設期間の恒久化
- つみたて投資枠と、成長投資枠の併用が可能
- 年間投資枠の拡大(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円、合計最大年間360万円まで投資が可能。)
- 非課税保有限度額は、全体で1,800万円。(成長投資枠は、1,200万円。また、枠の再利用が可能。)
出典:金融庁ホームページ
(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html)
自宅を売却して現金化する
持ち家があるなら、自宅を売却して現金化できます。
貯蓄や運用する余裕がなかったり、急に老後資金が不足したりするときも便利です。
ハウスドゥのハウス・リースバックは、自宅を売却して現金化できるだけでなく、リース契約を結んでそのまま住み続けられます。
売却した後も、お客様のタイミングで再度購入が可能です。
住宅ローンを完済していなくても、残債の額によっては利用できます。
ハウス・リースバックを利用してそのまま住み続けられるので、家を売却したことを近所に知られる心配もありません。(※物件によりご利用できないケースがあります)。
まとめ
老後も支出が多いのは、医療費や趣味・レジャー費など、老後ならではの出費が増えるからです。
現役の頃と同じように支出していると、老後資金が不足するでしょう。60代から老後資金を貯めるには、働いて収入を増やしたり、余裕資金で資産運用したりするのがおすすめです。